晴天のへきれき?
「ありがとう」

片手を上げられて、ニヤリと笑って見せる。

「別に、何もしてませんよ」

そう言って、扉を抜けた。







その後は何事もなく。


もちろん私もからかわれる事なく、平穏な時間が過ぎた。


「お疲れ様です。先輩」

木村の声に、業務日誌から顔を上げる。

「お疲れ様。また明日ね」

「はぁい」

パタンと日誌を閉じて、事務メンバーのパソコンの電源を確認。

OKっと。

ガランとしたオフィスを眺め、振り返った高瀬と目があった。


「おい。暴力女」

「なんだ、直情男」

ガクリと高瀬が肩を落とした。

「その……なんだ。今日はすまなかったな」

小さく吹きだして、腕を組む。


まったく。


「こっちこそ。痛かったでしょ」

「物凄い」

「自業自得」

「ま、なんせよ助かったよ。あのまんまじゃ、何するか解らなかったからな」

「ふん。何年の付き合いだと思ってるってのよ」

言いながら、デスクの上を片付ける。

「……にしても。あそこまで怒るのも珍しいわね」

「んー……」

高瀬はちらっと、私の背後を見てから溜め息をついた。

振り返ると、空席の室井チーフのデスク。
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