晴天のへきれき?
「室井の企画。一番始めに通っただけで、後はことごとく第一の連中に持って行かれててなぁ」

なるほど。

営業課の意地も多少絡んでたって訳ですかね。

「あんたも、プライド高いね」

「お前だって人の事は言えないだろうが」

苦笑しあってると、オフィスのドアが開いて室井チーフが入って来た。

「……何か?」

私と高瀬にじっと見られて、チーフは無表情に立ち止まる。

「いや……次の企画は絶対成功させような!」


高瀬が言うと、チーフは少し視線を彷徨わせ……頷いた。


「そうですね」

まったく、

また飄々としてるし。

「お前ね。もうちょっと、熱くならないもんかね」

高瀬のぼやきに、チーフは腕を組んで首を傾げた。

「この上なく冷静です」

「いや。冷静もいいんだがね?」


いや。

もう、なんて言うか……。


「ぷっ…」


今度は肩を震わせる私を、高瀬とチーフは見てくる。


「笑うな」

チーフに小さく言われて、片手を上げ、

「ごめんなさ…っ。でも、なんか」

まったりとした漫才みたいだし。


笑いながらもタイムカードを押して、息をつく。
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