晴天のへきれき?
事務のメンバーとロッカールームで着替えながら、自分の姿を見下ろす。

黒のパンツに白の七分袖のシャツ。

装飾品と言えば、ピアスくらいなもの。

「うーん」

ま、しょうがないか。

着飾る年でもないしな。

皆でエレベーターに乗り、一階まで降りてくると、社員入口を見回して誰もいないのに溜め息。


担がれたかな?


でも残業でも平気でって感じだったから、向こうも残業かも。


「先輩、帰らないんですかぁ?」

木村の声に顔を上げる。

「ちょっと野暮用」

「え? デートですか?」

「そのようなもの」

木村は目を丸くて、何故かエレベーターと私を見比べる。

「え。あの? お相手は? ホントですか、先輩!」

「まぁ……とりあえず、うまくいく様だったらね」

何か言いたそうな木村を、しっしっと手で追い払った。


ホントかどうか、

実はまだ半信半疑だし。



「……じゃあ、お先に失礼します」

「はい。また明日」

手を振ってから携帯を見る。

19:03の表示。

10分くらい待って、来なかったら帰っちゃおう。
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