晴天のへきれき?
烏龍茶のお代わりをもらって、溜め息をつく。


帰って来ない。

手持ち無沙汰で、テーブルに置いてあったチラシを眺めた。

カマクラ一号店、二号店。

あ。

会社の方にもあったんだ。


田崎さんも知らなかったのかな?


考えていると、隣の席から話し声が聞こえて来た。


「またご飯、食べないで飲んでるんですか?」

少し落ち着いた、若い女性の声。

「いつものことでしょ」

少しからかうような、低い男性の声。

「そんな事してると、いつか肝臓壊しますよ」

「きみが、ちゃんと世話してくれるでしょ?」


うはっ


恋人同士の会話ですか!?


見ると壁際の天井近くに穴が開いている。

空調の関係だろうけど、これじゃ気になって一人じゃいれない。

まぁ、普通一人ではいないか。


「ごめんごめん。遅くなって」


田崎さんが慌てて帰って来た。

良かった。

恋人の会話なんぞ聞いてるのは、なんとも居心地悪すぎる。


「田崎さんの方も、大変ですね」

にこやかに笑うと、田崎さんは肩をすくめた。

「朝倉さんも大変でしょう? 確か、営業課・企画課・外資企画課の書類を扱ってると聞きましたが?」
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