晴天のへきれき?
「じゃ、何故ですか?」

「恐らく、私と貴方とでは合いません」

「年ですか? 年の差なんて、関係ないじゃないですか!」


ああ。


解らないんだろうなぁ。

話も結構、噛み合ってなかったのに。

でも、彼は彼の喋りたいことは喋っていたし、楽しかったのかもね。

私の話は聞き流される事がしばしばあったけど。

「悪い所があるなら、直しますから!」

「そういう、意思の弱い男も願下げですから」

あ~。

私、けっこう理想が高いんだ。

納得しちゃったよ、木村。

こりゃ、恋人作るのは難しいなぁ。


そう思いつつ、かまくらを出ようとして、


「ちょっと待って!」

イキナリ腕を掴まれて、振り返った。

「離して頂けますか?」

「いいや。離しません!」

睨むような田崎さんに困る。

「そう言われても、困りますから……」

なんか、怖いんですけど!

「でも、朝倉さ……」

「離して下さいと、お願いしているんですが?」

「僕は、貴女が好きなんです!」


この子は、真面目に困る。

自分の意見ばかりで、人の言うことなんて全然聞いてやしない。

「好きだからと言って、何もかもが許される訳じゃないんです。だから、この手を離して下さい!」

「朝倉さ……」

田崎さんが言いかけた時、傍らにスーツ姿の男性が立った。
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