蜘蛛の巣にかかった蝶のようで


ッダン!!!

両腕をすごい力で掴まれ、そのまま床に倒された。

何が起こったか全然検討もつかない。

あまりの痛さに涙がにじむ。

パニックを起こして声もでない。

「……っ。ぃたい…。築山君…!」

「……ぉれを…………て。」

「え?……なに?」

聞き返すとはっとした表情で両腕を解放した。

「あ…俺…なにやって…。……ごめん!!」

「築山君、急にどうしたの?」

「違うんだ、ほんとに、ほんとにほんとに!なんでもないんだ。気にしないで?ごめんな……。」

築山君も軽くパニックになっていた。

何があったのかは分からないけど…。

とりあえず、大丈夫、とだけつぶやいた。

「……ごめんな…嫌いになった?」

またあの悲しそうな顔に戻った。

「なるわけないよ!大丈夫だから!」

私も落ち着いて笑顔を向けてみた。
ちゃんと笑顔が作れていたかは分からないけど…でも怖かった。

「…ありがとう水谷。」

「いいえ!助けてくれた人を嫌いになるわけないよ!」

築山君は笑った。
でもさっきまでの笑顔じゃない。
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