蜘蛛の巣にかかった蝶のようで

今の時代、メールを好まない高校生がいるなんて…。

不思議な感じ。

「…………は。」

築山君の声。

ビクッ……。

思わず肩が揺れた。

「え?なに?」

思わず聞き返す。

「なんでもないよ。」

ニッコリ笑う顔はまたあの全てを見透かすような……。

なぜかものすごく恐怖だった。

「わ、わ、私…やっぱ帰るね!」

「え?!ちょ……。」

「きょ、今日はありがとう!!お邪魔しました!」

腕を掴もうとした築山君をするりとかわし、玄関へ飛び出した。

8月下旬とはいえ、まだまだ暑い。

すぐにTシャツが汗でしめった…あ、Tシャツとショートパンツ!!

かりたままでてきちゃった。

でも洗って返せばいい…。

大きな大きなTシャツは風を思いっきり受ける。

汗をかいているせいかTシャツを通り抜けていく風が今日は妙に気持ち悪い。

今朝の河原で後ろを振り返る。

……誰も追っかけてこない。

なぜかものすごく安心してしまった。

疲れた……。

朝から色々なことがありすぎて…。

どっと疲れが出てきたから河原で休もうかと思ったけど……。
ここの河原も思い出がいっぱいで見たくなくて。

重い足を引きずるように私は家へ帰ることにした。
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