鬼伐桃史譚 英桃

 ここからだと米粒くらいにしかわからない。人の姿が微かに見える程度だが、どうやら茜は何かを見つけたらしい。

 彼は常人には見えないほどの距離をその目に宿すことのできる視力を持っていた。


 三人は急いで茜が見つけた行列を目指す。



 するとしばらくの後に、一行は長い行列の背後に当たった。これこそが梧桐の鬼討伐隊であったことはいうまでもない。



 さて、梧桐の隊には追い着いたものの、どうやって彼に頼み込もうか。英桃が算段していると、隊を成しているどこかしらから言い争う声が聞こえてきた。


「お願いです、梧桐様に会わせてください」
「ええい、ダメだ、ダメだ!!」


 梧桐隊の最後尾。英桃らよりも少し前を行くその中で――年は二十ほどの若侍と、少女を発見した。



 英桃は言い争っているであろう二人へと急ぐ。


「どうかわたしもお仲間に加えてください」

 そこには英桃とあまり年の違わない、袴(はかま)姿の少女がいた。雰囲気はまるで桜の花のように儚(はかな)く、美しい。彼女は若侍にすがり、何やら切に願い出ている。


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