君の名は
彼の机の前に立つ。
本を読んでる。
(何読んでるんだろ。紙飛行機、取ったら邪魔にならないかな。)
そう考えあぐねていると
美咲ちゃんの
『のぞみー?とーめいにんげんのことなんか気にしないではやくとってきてよぉー』
って声がする。
私は黙って、彼を見つめている。
彼は不思議に思ったのか、私に紙飛行機を渡してくれた。
私はなぜか慌ててちょと笑うだけで逃げるように席に戻ってしまった。
美咲ちゃんは
『どーしたの?とうめいにんげんなんか気にしなきゃいいのに。』
と言う。
紙飛行機を返しながら
面白そうな本を読んでいたから、と言い訳をしてみる。
彼女はまるで興味がなさそうに他の女の子とネイルの話を始めた。
確かに、彼の読んでいた本は先週の日曜日私が買った本と同じで興味を引いたけど、彼の前にたってたのはそんな理由じゃない気がする。自分でも、わからないけど。