君の名は
第四章
第四話望
土曜日の昼、僕はいつものように河川敷にいた。いつものように本を読み、いつものようにホームレスのおっちゃんと話しながら。
これまではなかった切ない寂しさを抱えて。
昨日、僕の心のなかに入ってきた彼女は、あっという間に僕の心の中に居場所を作ってしまったらしい。
河川敷には日が照っていて
僕の影が土手にはっきりうつっている。
(透明人間に影はできないだろう。)
とそこにはいない誰かに反撃すると
川面で魚が跳ねた。