残 ―zan―
ある日の晩、僕は変な夢を見た。女が必死になにかを訴えている夢。

僕はその女を知っているように思えた。

それからその女は毎日僕の夢に出てくる。そしてなにかを訴える。しかし、声は聞こえない。


そんな夜が幾日も続いた。

僕は眠ることが苦痛になり、眠らない日々が続いた。
そんな生活を続けると必然的に身体は衰弱していく。見かねた知人は病院に行くべきだ、と言ってくれたが眠れない理由は夢であってそれは病院でもどうにかなる問題ではないだろう。

知人に眠らない理由と、夢の話をした。知人はなにか考え込み、僕にその女の姿はどのようだったかと、尋ねた。

髪の長い、僕たちと同じくらいの年齢の……

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