残 ―zan―
エプロンを作業机へ置くと、店主は背中を向け、ゆっくりと歩き出した。


……どのくらいの時間だったのだろうか。

僕たちは扉が重く閉まる音を聞いて、ようやく身体を動かすことができた。僕たちは静かに店を出る。

闇で満ちていた世界が、白い光で包まれていく。

田中美優は1番初めの客が見つけるだろう。彼女が僕の夢に出てくることはもうない。


僕たちは手を繋ぎ、しっかりとした足取りでその世界を後にした。

眩い朝日が僕たちを照らす。顔話出し始めた太陽がとても美しく見えた。太陽を見るとなぜか涙が流れた。



――ある暑い夏のことだった。


< 20 / 22 >

この作品をシェア

pagetop