愛欲のビスクドール
§1 孤児院の少女
「なに…この子。」

「気持ち悪…。」

冷たい目。
刺さるような視線が私を蝕む。
口々に発せられる言葉がぐりぐりと心を抉っては掻き乱していく。

「銀色の髪に、灰色の目だって。」

「かわいそうに。」

私の髪と目は普通の人とは違う。
髪は銀色。
目は灰色。
これが外国人なら良かったのに、私はあいにく日本人。
本当、腹が立つ。
私の親は私を見て「悪魔の子」って言って騒ぎ立てた。
髪が銀色だと悪魔の子なの?
目が灰色だと悪魔の子なの?
私はまだ小さかったけど、傷付いた。
見た目のことなんて私がどうにかこうにか出来ることじゃない。
そして私は親に捨てられた。
ゴミを集めてる大きめのゴミ出し用のところに捨てられた。
まるで“お前はゴミだ”って感じじゃない?

「俺はお前のその髪とか好きだけどな。」

「え…?」

私は耳を疑った。
そんな、バカな。
誰もが嫌ったこの容姿が好き…?

「どうして?」

「は?普通に…可愛いだろ。」

彼は顔を赤らめて言った。

「初めて聞いた…そんなこと。」

「マジで?!」

彼はその翌日に引き取られていった。
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