愛欲のビスクドール

紳士はずっと笑っていた。
こんな人に引き取られるだなんて運命みたい。
すごく優しそうで…。
私の容姿を見ても「可愛い」って言ってくれて…。

「引き取ります。手続きをお願いしてよろしいですか？」

紳士は紙を取り出した。

「正気ですか？」

園長は信じられないようだ。
いいから、早く手続きをして。

「はは、園長も歳のようですね。僕はいつだって正気ですよ。こんなに可愛い子が孤児院にいるだなんてねえ。」

「こんな灰みたいな子でもですか。」

「とにかく、僕はこの子を引き取ります。なにか文句でも。」

紳士は鋭い目付きをした。
園長はとうとう諦めたのかペンを取り出して書類に文字を書き始めた。

「君、確か…玲月と言ったかな？」

私は頷いた。
私はどうしたらいいか分からない。

「僕は瑠璃合遙和。君のパパになるの。」

「パ…パ？」

なに？
パパって。
でもなんかあったかい感じがする。

「そう。パパ。お父さんって意味だよ。」

私の頭を撫でてくれた。
ふわふわしてて気持ちい。

「…食べ物は何が好きなの？」

「…チョコ。」

「チョコ？へえ、そうなんだ。僕は苦手かなあ。」

「手続きが済んだわよ。」

若い女の人が出て来た。
長い髪の毛にやらしい身体つき。
モデルみたい。

「来た。隠れ院長。」

パパが笑う。

「隠れてなんかないわよ。私は事務用の院長よ。」

「表立ってないじゃないか。」

「はいはい。それよりも…あんた、本当に恵まれてるわよ〜。」

院長が頭を撫でる。
わしゃわしゃと言った感じで撫でるから髪の毛がボサボサになった。

「こんな屋敷に引き取って貰えるんだから。」