愛欲のビスクドール
§ 2 眉目秀麗な紳士
玲月は初めてのことが多すぎて何も出来ない子だった。
何も、と言ったら嘘になるが食事でのマナー以外はほとんど出来ない様子であった。
5歳くらいの玲月に叩き込むことはたくさんある。

①洗濯のたたみ方
②身だしなみの整え方
③文字の書き方
④文字の読み方
⑤全般的なマナー

etc…


など、色々ある。
遙和いわく、こう言う基本的かつ日常的なことは幼少の頃から叩き込むことが重要になってくるという。
ただ、普通の五歳児なら泣き喚かせてでも叩き込ませるが、相手は心に深く傷を負った少女だ。
あまりスパルタにいくと引きこもり始める。
少しずつこなしていくのがベストだろう。


「玲月。」

玲月が肩をビクッと震わす。
名前を呼ばれることにまだ慣れていない様子であった。

「いい?パパね、玲月が綺麗なお嬢様になって欲しいから今から色んなこと教えたいんだけど良いかな。」

「なにを…教えてくれるの?」

「そうだね…今日は文字を教えてあげようかな。」

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