キミに言いたかった言葉


「ごめん、トモちゃん」


「保健室にいたみたいで良かった。体調悪いから保健室って言っといたの」

ホッとしたように言うトモちゃん


「ありがとうね」


「はい、これ。さっきの授業のプリント」


「感謝しきれません」


私がそう言うとトモちゃんは笑った

それから少し顔を近づけて
内緒話でもするかのように声をひそめて言った


「んで、どうだったの?例の人は」

トモちゃんは何か期待するかの様に訊いてきた


「1年の男子だった」


「へ〜そうなんだ。名前何て言うの?」


「それがさ〜名乗りもせず去って行ったの」


「何だそりゃ」


「私だけ名乗って終わったし…」


「あら〜…とりあえず教室行こうか」

「うん」

私とトモちゃんは自分たちの教室に向かって歩き出した



「でもさ〜名前訊いたところでどうするの?」


「…え?」


「杏奈はさ、そのカレとどうかなりたいの?」

トモちゃんは真剣に訊いて来た


「…それとも橘くんの名前が出て来るのを聞きたい?」



柊の名前…?

そうなのかな…


でも確かに、トモちゃんの言う様にカレの名前を知る意味って…


「…自分でもわからない」
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