キミに言いたかった言葉



「…た…橘?」


それはいつの間にか声に出ていた


カレは私のその声に気付いた様でこっちを見た


「あ。杏奈ちゃん」


「橘ってあなたのことでしょ…?」


「そうだけど…やっとわかった?」


「嘘……柊はもう…」



私は何が何だかわからなくなっていた



橘?!


何で同じ名字なの?


柊なわけがない…だったら誰なの?




「鈍いなぁ、杏奈ちゃんは」


カレはクスっと笑う




「おーい、皐月〜!」


1年の男子がこっちに向かって走ってきたと思ったら、カレに向かって言った


「そろそろ行かねぇと遅れるぞ」


「そうだな、んじゃ行くか」


「待って!!」


私は勢いよくカレを止めた



「皐月って…あなたの名前?…橘 皐月?」


「そうだよ、杏奈ちゃん」







“杏奈ちゃん”

その呼び方には覚えがある

ある人は私をそう呼んでいた



“橘 皐月”

柊と同じ名字

そして柊の面影



私は顔を上げ、カレを見て言った

驚きを隠せなかったその時の私の顔は、きっとアホ面だったことだろう




「さ…皐月くん?柊の弟の…」


私がそう言うとカレはにっこり笑った


「うん、やっと思い出してくれたんだね」




ほ、本当に皐月くんなんだ…

何だか夢の様…


「…何年ぶりだろう」


「んー柊兄亡くなってから4年だし、4年ぶりかな」



本当、懐かしい…

皐月くん、身長小さかったけど
こんなに大きくなって…


「身長何cmあるの?」


私が皐月くんの顔を見ようとすると
ちょっと見上げるくらいの高さ


「173cm、でもまだ成長中。杏奈ちゃんは…158cmくらい?」


「えっ、すごい!当たり!何でわかったの?」


皐月くんは、へへっと笑った


「勘だよ」

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