キミに言いたかった言葉
最寄りのコンビニは
うちのアパートから徒歩3分
とても便利でいつもお世話になってる
コンビニに着くと、
飲み物や卵や野菜、あとお菓子を選んだ
それからレジに並ぼうとした時
誰かが反対側から同じ列に並ぼうとしてきた
「あ、すみませ…って」
「皐月くんっ!」
「杏奈ちゃん」
それは皐月くんだった
皐月くんは一瞬驚いたようだったが、すぐまたあの笑顔になった
優しいけど、どこか不思議…その笑みの奥には何を秘めているのかな
「杏奈ちゃん、先どうぞ」
「え…でも」
「あっちのレジ空きそうだし、俺あっち行くから」
「そう?ごめん…ありがとう」
「ん」
皐月くんは向こうのレジに行った
…皐月くん、優しい…
昔も優しかったけど、こんなにあからさまにじゃなくて…
クールで物静かだったけど、よく気がつくような子だったな
会計が終わって店を出ようとすると
皐月くんも丁度会計が終わって店を出ようとしているところだった
皐月くんはドアを開けてくれた
「ありがとう」
「どういたしまして」
「皐月くんはどっち行くの?」
「俺こっち」
皐月くんが指差す先は私と同じ方向だった
「私も。途中まで一緒に帰ろ?」
「いいよ」
って言っても、アパートまで約3分
あっという間に着いちゃうなぁ
「皐月くんの家この辺にあるの?おばさんとおじさん元気?」
「今俺一人暮らしなんだ。だから親とは別に暮らしてんの。でも2人とも元気だよ」
「えっ、そうなんだ!」
「杏奈ちゃんの家も引っ越したの?」
「ううん、引っ越してない。私だけこっちで一人暮らししてるの、皐月くんと同じ」
「そっか〜、あ、俺ここで曲がるよ」
「あ、私も」
そう言うと皐月くんは私を見た
私も何か予感がした
まさか…
「杏奈ちゃんの住んでるのって…もしかしてアレ?」
皐月くんが私の住んでいるアパートを指差した
「うん」
私は頷いた
すると皐月くんはアパートを見上げた
「そっか…俺も同じ。同じとこ住んでたんだね」
そう言ってまた私を見て微笑った