キミに言いたかった言葉
「あ、そうだ」
そういえば明日、一緒にどこか行かないか誘おうと思ってたんだった
「ねぇ、皐月くん、明日何か予定ある?」
「明日?…ああ〜そういえば予定入れてなかったな…暇は嫌だし…今から予定入れれっかな」
そう言ってスマホを持った
え、待って、他の人誘うつもり?
「皐月くん待って!」
皐月くんは私を驚いた顔で見てきた
「明日空いてるなら、私とどこか行きませんか?」
そう言った私は、正座で、握りこぶしの両手を、それぞれの太ももの上に乗せ
まるで、男性が彼女の父親に『娘さんを僕にください』と言っているようなポーズだった
「ぶはっ」
皐月くんは吹き出して笑った
再開してから初めて見た、軟らかい温和な笑みだった
「杏奈ちゃん、なんだか必死だね。いいよ、どこか行こう」
それを聞いて私は嬉しくなった
「じゃあ、どこ行く?何か食べたりもしたいな。あ、服も欲しいんだった」
「杏奈ちゃん、張り切ってるね。いいよ、杏奈ちゃんの行きたい所、全部付き合うよ」
そう言った皐月くんは、先ほどの軟らかい笑みのまま、暖かい目で私を見ていた
明日一緒に出掛けることにOKを貰ったこともそうだけど、
何より皐月くんの本当の笑顔を見れた気がして、それがとても嬉しくて胸がいっぱいになった
「じゃあ明日、10時に杏奈ちゃんの部屋まで迎えに行くから」
「うん!ありがとう」
「どこ行くか決めておいてね」
「うん!皐月くんはどこか行きたいとこないの?」
「うん、まぁ今のところないかな」
「そっか、じゃあ次の時は皐月くんの行きたい所、私が全部付き合ってあげる」
「はは、そう、ありがとう」
どこ行くか決めておかなきゃな
帰ったら決めようっと