星空エデン
───


それから急いで病室に戻った私と雛ちゃんは看護師さんにバレることなく点滴を受けることができた。


小さい頃から嫌いだったこの点滴ももう今では慣れた。


いまだに、雛ちゃんは嫌みたいだけど…


しょうがないよね…



流星くんはというと、点滴が始まる前に帰ってしまった。



──もっとお話したかったな。




数日後



流星くんが病室に来ることが日常のようになっていた。


雛ちゃんが寝ている頃…



流星くんは私に訪ねた。

「青木…さん、あのさ…」

(…?……なんだろう?)

「答えたくなかったら答えなくていいから。」





「…うん」

「入院してるのはなんで?」


──私は、生まれた頃から心臓が弱くて。
人並みに運動もできない。


私は、そのことを流星くんにすぐさま伝えようとした…



…でも。


なんだか、いいづらい。


「あっ、無理に答えなくていいからね!」

私はクビをふった。

そんなことはないんだけど…


「…私ね、心臓病なんだ。」

流星くんは驚いた顔をした後、相槌をうった。

「そう…なんだ。手術して治ったりしないの?」

「うん…なんかね、もう末期らしいの。」


「末期…ってことは…えっと、つまり、死ぬ……ってこと?」


「まぁ…そうかな?」


「青木さんは…思い残したこととかさ、やりたいこととか…ないの?」


「たくさん…あるよ。だって、私ずっと病室にいたし、恋とか、ドキドキやワクワクを体験したい。でも…」

そう…だって、もう末期なら残された期間を穏やかに暮らしたい。


「でも…?」


「一人じゃなにもできない…」


うん。一人じゃ何もできっこない。



「それじゃあ…俺と思い残しをなくそうよ。」


「えっ」

えっ、えええええ!?


てゆか、そっか私、手伝って欲しいみたいな言い方だったもんね!

そりゃそうだわ…


でも、内心すごく嬉しい。


ほら、やっぱり優しいんだよ、流星くんは。


「い、いいの…?」


「もちろん!」


とびきりの笑顔で答えてくれる。


きっと、こんな人がそばにいたら私も…




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