忍び寄るモノ
「わたし達も帰ろう?」
「……奈々ちゃん、みんな仲直りできるよね……?」
側にきた奈々ちゃんに思わず聞いた声は私らしくなく震えていて、奈々ちゃんが目を見開いて驚いているのが分かる。
話すことがあまりない人もいるけど誰一人欠けたってダメだと思うから。
「きっと大丈夫。みんなが元気でいたら仲直りするチャンスは何回もあると思う」
奈々ちゃんが目を細めて静かにそう言って私の頭をポンポンと軽く叩くようになでてくれた。
そうだよね。うじうじするなんて私らしくない。
奈々ちゃんが言うように元気でいたらみんなとはまた会えるんだから。
「ありがとう! 奈々ちゃんのおかげで元気出たよ」
「どういたしまして。静ちゃんが元気になったならよかった」
「岡本君も待ってるしそろそろ帰ろう」と握ってくれた奈々ちゃんの手をギュッと握り返す。
それから教室のドアの近くで待っていてくれた岡本君のところへ向かって二人で歩く。
「待たせてごめんね。……岡本君?」
岡本君は私達が近づくと制服のポケットに手を入れて、ケータイを取り出して私達に見せるように近づけた。
岡本君のケータイは黒色の折りたたみで久しぶりに見たガラケーが何だか懐かしい。
「連絡とるのに不便だからよかったらアドレス交換しないか?」
「えっ、いいの!?」