忍び寄るモノ
「今日は一時間目に緊急の全校集会が行われます」
――えっ?
先生はいつもとは違うすごく真剣そうな声でそう言った。
何か顔色が悪くて今にもフラフラしそうに見える。
「今から男女別の出席番号順に一列ずつ並んで体育館に向かいます」
先生の緊張したような声にみんながざわめきながら教室を出て廊下に並んでいく。
奈々ちゃんのすぐ後ろに並ぶと奈々ちゃんが後ろを向いてきた。
「何か知ってる?」
「ううん。誰からも特には聞いてないよ」
何か不思議な話とかがあればSNSサイトの私のアカウントにコメントがあるはず。
学校に着くまでは何も通知がなかったし、校内に入っても誰かから変わった話を聞いていない。
「静かに」という先生の声を合図にみんな話すのを止めて、並んで静かに体育館へと向かった。
***
体育館に着いて全校生徒が集まると間もなく鳴り響いたチャイム。
教頭先生がマイクのスイッチを入れて全校集会の始まりを知らせる。
「今日はみなさんに校長先生から大切なお話があります」
言葉をきった教頭先生は校長先生の顔を見る。
校長先生は軽く頷いてステージに上がるとステージに用意されていたマイクのスイッチを入れて息をすうっと吸った。