忍び寄るモノ
「すみません。心配でつい」
高橋先生はそう言いながらも肩を揺らして笑いをこらえているのがわかる。
他の先生もクスクス笑ったり体を揺らしているのが分かっていづらくなった私は「資料室に行ってきます!」と無理やり職員室を出て行こうと決める。
体の向きを変えてズンズンとドアの前まで歩くと小さな笑い声をもらしながら岡本君が後ろをついてくるのが分かって何か言いたくなる。
でもここは我慢しなきゃ。早く資料室に行かないと時間は限られてるから。
「早く行こう!」
来た時と同じように職員室を出てドアを閉めたすぐ後、私は岡本君の手をつかんで走り出した。
***
三階までダッシュで向かって資料室の鍵を開ける。
ドアを開けて電気をつけるとたくさんの物が私達の視界に広がって迎えてきた。
「すごい量だけど探すあてはついてるの?」
中に入って近くにあった棚を見ながら言う岡本君に私は勢いよく「だいたいね!」と返して奥へと歩いていく。
授業で使う資料もここにあるから用意する当番になってここにきたことはある。
授業用に準備した物は入り口に近いところの棚にあったのがほとんど。
だから奥に行けばあると思うんだよね。
資料室は結構広くて、奥に行くと扉があって続き部屋があるみたいだった。