忍び寄るモノ
一時間目が終わって休み時間になった教室はいつも以上に賑やかに。
いつもは休み時間に教室にあまりいない人もいてみんなは全校集会の時の校長先生の話でいっぱいだ。
窓際に立ちながら私が荒木先輩のことを聞くと奈々ちゃんは首を横に振る。
「名前と噂は聞いたことあるけど話したことはないかな」
「噂ってあの夜遊びしてるって話……?」
「うん。亡くなった人を悪く言いたくはないけどね……」
奈々ちゃんは困ったような顔をして小さめの声で言う。
荒木先輩は見た目からか本当にそうなのか、夜遅くに外で遊んでいるっていう噂があって校内の生徒は噂を知ってる人が多い。
だけど私は夜に外に出ても先輩に会うことはあってもいつもじゃなかったし先輩が一人でいる時だけ。
だからその噂が本当か嘘かは分からない。
オカルト話なら私もどんどん調べたいところだけどね。
私は体を動かして窓越しの外を見る。
空は綺麗な青色で学校前の道には歩いている人がいて。
いつもと変わらない外の様子といつもと違う雰囲気の教室。
それが何だかボタンをかけ違えたみたいで気持ちが落ち着かない。
「早く犯人が捕まればいいのに」
「そうだね」
奈々ちゃんの声とクラスの人の声を聞きながら、願うように私は両手をギュッとこぶしを作るように握りしめた。