忍び寄るモノ
「一人で大丈夫なの?」
事件の被害にあってるのは生徒だけど、夕方でも一人で歩くのは危ないんじゃないかな……。
私が一緒に行こうかなと思っているとお母さんは「大丈夫よ! いざとなったら走って逃げるから」と笑って言う。
そう言えばお母さんも走るのが速いんだった。
靴をはき終わったお母さんはドアノブに手をかけて「行ってくるわね」と笑顔のまま出かけていった。
大丈夫かな……?
いくら足が速くても男の人が相手だったら──。
とりあえず行くのはいつものお店だと思うから遅いようなら携帯に電話をかけてみよう。
そう決めて私は靴を脱いで家の中に入っていった。