忍び寄るモノ
「今日は六時間目を中止して生徒は下校って言ってたよね?」
スマホを見ながら話しかけると奈々ちゃんが私のスマホ画面を覗きこむように見ながら頷く。
「職員会議を開いて明日には保護者説明会を開くって言ってた」
「それじゃあ今日帰ったらお母さんに言っておかなくちゃ」
「そのほうがいいかもね。わたしも言っておこうって思ってるよ」
二人でスマホを見ながら話していると奈々ちゃんはある画面で「うわっ」と声をもらす。
私がチラリと見ると奈々ちゃんは顔を歪めて嫌そうな顔をしていた。
「インターネットってすごいね。先輩のことをこんなに書かれて……」
奈々ちゃんは掲示板の書きこみの内容を眉を寄せてじっと見る。
掲示板にはたくさんの人の書きこみが次々寄せられて、中には同じ学校の生徒だと思う書きこみもいくつもあった。
「お互い顔が見えないしどこの誰かも分からないから便利だけど大変なこともあるよ」
私のアカウントへのコメントにも時々否定的なものがある。
その時はやっぱり気になるけれど私の好きなことを嫌いな人はどこかにいるものだから、普段は見る掲示板とかを決めてる。
今は事件のことを知りたくていつもとは違う掲示板にたどり着いたけれど、掲示板が乱立しててコメントも荒れているみたい。
もう少し落ち着いてからまた見ようと思って私はネットの接続を切った。