忍び寄るモノ

目をこらせば部屋の壁一面に何かが貼ってある。

私は転ばないように立ち上がって部屋の壁に近づいてみたけれど貼られているものにヒュッと息がつまった。

「何……これ……」

貼られている写真には見覚えがある。

どれもこれも必ず同じ人──柴田さん──が写っているものばかり。

卒業アルバムにあった物がいっぱいあって同じ写真が何枚も貼られている。

隣の壁も同じような写真が貼られていてどう考えてもこの枚数は異常だと思う。

「葉山先生はこの柴田って人と関係があるらしいんだ」

「え……!?」

私の横まで歩いてきた岡本君は目を細めて睨むように写真を見る。

「俺に言ったんだ。俺と折笠さんを殺せば柴田君が帰ってくるんだって。死んだ人が生き返る訳ないのに──」

くしゃりと顔を歪めて泣きそうな岡本君に私はあることを決めた。

これは願掛け。おまじないみたいなものだけど、何もないよりは絶対いいはずだから……!

「岡本君。ここを二人で出られたらどうしてそんなに悲しい顔をするのか理由を教えてくれる?」

「え……?」

「前から気になってたんだ。見てるこっちまで悲しくなるような顔をするのはなんでだろうって」

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