忍び寄るモノ
「それは──」
「あともう一つ! 八重歯の真実も教えてほしいな!」
「二人で無事に助かったら奇跡的だしいいでしょ?」と強引に話を持っていってみる。
少しの間反応がなくなったから無理かな?
そう思って岡本君を見てみる。
だけど岡本君は意外なことに目を細めて笑ってた。
「いいよ。二人で助かったら必ず教える。そのかわり折笠さんも教えてほしい。どうしてオカルト情報を集め続けるのか」
「私?」
「ああ。俺も願掛けしとこうと思って」
「ダメだった?」と続ける岡本君に私はブンブンと首を横に振る。
「ダメじゃないよ! 私のことでよかったらいくらでも教えるから!」
「お互い約束な」
「うん──……!」
大きく頷いていると背中を向けていたほうにある扉が鈍い音をたてて開き、私と岡本君は勢いよく後ろを振り返った。
「もう目が覚めていたの? 思ったより早いのね」
──部屋に入ってきたのは私が着ている物と似た制服を着ている葉山先生。
先生はにっこりと笑みをこっちに向けてからドアを閉めるとドアの近くで何かをしている様子。
それから少しして私達のほうを向くと左手に持っている物をずいっと私達に見えるように腕を突き出してくる。
それは資料室から姿を消していたラジカセそっくりで驚くしかできない。