男なんていらないッ
企業したのは、23歳の時。

大学を卒業して、物凄く小さな出版社で、ボロ雑巾のように働かされていた時に起業を決意した。


3千万円の借金を事業資金にして、たった1年で年商が1億円以上にまでなった。


その事業は、重機リサイクル。




平たく言えば、中古重機の販売だった。



農作業用の重機、家庭用の草刈機から工務店用の浄化槽や仮設トイレ。
普通の25歳女性には、縁もゆかりも無いような、泥くさい商品を扱っている。




「あ、もしもし?コウちゃん?あたしなんだけど。」



美香は半乾きの髪をタオルで拭きながら、大親友の康介に電話をかけた。



「ごめんね、昨日。今までかかったよ。うん、うん、そう。死んだよ」



エラーが起きたシステムの復旧は、思った以上に時間がかかった。
美香が持ち合わせている知識では対応できず、知り合いのエンジニアに電話をかけまくって作業をした。



『お前のためにセッティングした飲み会だったんだぞ』


言っているコウちゃんの笑った顔が浮かぶ。
いつも美香の味方でいてくれるコウちゃんは、大事な大事な兄貴的存在だった。


昨日の飲み会は、「OLさんと遊んでみたい」という美香の要望に応えて、康介がツテを使ってセッティングしてくれたのだった。



「埋め合わせは、必ず!」



片手でゴメンのポーズを取りながら、美香は頭を下げた。
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