男なんていらないッ
「人をオッサンよばわりしないでくれます?これでも、ピチピチの25歳。女盛りですからね。組合じゃ、めっちゃモテてんだから」
威張る美香に、康介が高笑いをした。
「組合って、あの組合かよ!?オッサンどころか、ジーさんばっかりじゃねぇかよ。そんなとこで、女盛りを強調してどうすんだよ」
美香が定期的に顔を出す≪組合≫は、主に重機の中古市場の主催者が集う会合。
どこよりも安く、良い中古重機を手に入れるためには、とにかく中古市場でのつながりが欠かせない。
美香はその地域ごとの組合に定期的に参加していた。
重機という特殊な分野だけあって、集まる会員たちは、みんな還暦間近のゴツゴツした男性ばかり。中には、まだまだ現役を主張する70代のおじいちゃんまでいる。
99%以上が男性で占められている汗臭い中で、美香は紅一点紛れ込んでいた。
「お前、そんなとこにばっか行ってるから、オッサン化するんだぞ。だいたい、カラオケの十八番が天城越えってどういうことだよ。」
「天城越え、ウケんだよねぇ。あとさ、奥様方には氷川きよしがめちゃくちゃウケる!今あたし振り付け練習中だもん」
「お前、オッサンたちの奥さんまで相手にしてんの!?」
「だって、顔を知っておいてもらったほうが何かと都合がいいんだよね。ほら、若いし?きれいだし?そんな人が自分の亭主と一緒にいるってことになると、後々面倒になったりするかもしれないじゃん?」
「なるかよ!」
「女ってのはね、いくつになっても女なのよ」
「お前、最終的には、アレだろ。そいつらの介護もする気だろ」
「しないよ!!」
「いや、するする。そんで、重機どころか、資産まで食い尽くす気だな」
「ひっどーい!」
言いながら笑う康介の視線が、美香の頭の上を通り越した。
お客さんが入って来た時の視線と同じだ。
美香は、小さなため息をついて、ウイスキーを口に含んだ。
「きちゃった」
美香の頭の上から聞こえた声は、康介へと向けられていた。
振り向いて見上げると、そこには女性が2人立っていた。
(あ・・・!)
威張る美香に、康介が高笑いをした。
「組合って、あの組合かよ!?オッサンどころか、ジーさんばっかりじゃねぇかよ。そんなとこで、女盛りを強調してどうすんだよ」
美香が定期的に顔を出す≪組合≫は、主に重機の中古市場の主催者が集う会合。
どこよりも安く、良い中古重機を手に入れるためには、とにかく中古市場でのつながりが欠かせない。
美香はその地域ごとの組合に定期的に参加していた。
重機という特殊な分野だけあって、集まる会員たちは、みんな還暦間近のゴツゴツした男性ばかり。中には、まだまだ現役を主張する70代のおじいちゃんまでいる。
99%以上が男性で占められている汗臭い中で、美香は紅一点紛れ込んでいた。
「お前、そんなとこにばっか行ってるから、オッサン化するんだぞ。だいたい、カラオケの十八番が天城越えってどういうことだよ。」
「天城越え、ウケんだよねぇ。あとさ、奥様方には氷川きよしがめちゃくちゃウケる!今あたし振り付け練習中だもん」
「お前、オッサンたちの奥さんまで相手にしてんの!?」
「だって、顔を知っておいてもらったほうが何かと都合がいいんだよね。ほら、若いし?きれいだし?そんな人が自分の亭主と一緒にいるってことになると、後々面倒になったりするかもしれないじゃん?」
「なるかよ!」
「女ってのはね、いくつになっても女なのよ」
「お前、最終的には、アレだろ。そいつらの介護もする気だろ」
「しないよ!!」
「いや、するする。そんで、重機どころか、資産まで食い尽くす気だな」
「ひっどーい!」
言いながら笑う康介の視線が、美香の頭の上を通り越した。
お客さんが入って来た時の視線と同じだ。
美香は、小さなため息をついて、ウイスキーを口に含んだ。
「きちゃった」
美香の頭の上から聞こえた声は、康介へと向けられていた。
振り向いて見上げると、そこには女性が2人立っていた。
(あ・・・!)