懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
両目がなくなってしまった今、彗は何も見えていないのだ。


「ここだ。ここにある」


俺は血まみれの彗の目玉を手に取り、それを彗に渡した。


目玉はヌルリとした感触で、表面は想像よりも固かった。


「百合……いる?」


「いるよ。ここだよ彗」


百合が彗の手を握りしめる。


「ごめんね百合。あたしをコンロまで連れて行ってくれる?」


「うん……わかった」


百合は彗の体を支えて立たせ、ゆっくりとコンロへと向かった。


「これで本当にドアが開くのか?」


料理を始める彗の後ろ姿を見ながら、俺は小さく呟いた。


「さぁな。またあの声が聞こえて来て、《目玉はまだある》とか言いやがったら、ここにいる全員の目玉を良が食う事になるな」
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