懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
料理をするために必要な道具は冷蔵庫の鶏肉ではなく、あの手錠の方だ。


「なに? 誰かをあの手錠につなぐって事?」


百合が青ざめて言う。


「たぶん……そういう事なんだと思う」


「て、手錠につながれた人は、体の一部をなくさなきゃいけないの!?」


「……おそらく、そういう事になると思う」


俺はそう答えてからグッと奥歯をかみしめた。


「あたしは、それを食べるのね……」


春姫がジッとテーブルを見つめて呟いた。


良が不安そうな表情で春姫を見ている。


結局、話し合いにはなんの進展もないまま時間だけが過ぎていく。


誰もがその場を動けずにいた。


料理に失敗すれば春姫は死ぬ。


料理に成功しても、誰かが傷つかなくてはいけない。
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