懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
ケチャップはいらない
「ぐっ……!」

嵐が目を見開き小さく呻いた。


百合の持っている包丁は嵐の皮膚に突き刺さり、そこからじわじわと血が滲んできている。


「ど……どうしたらいいの!?」


嵐に腹部に突き刺さった包丁を両手で握りしめたまま、百合が叫ぶ。


「肉を切り落とすんだ」


俺は百合の横で冷静にそう言った。


「切り落とすの!?」


百合の叫び声が悲鳴に近くなる。


目には涙が浮かんでいて、今にも零れ落ちてしまいそうだ。


「嵐の肉を米と一緒に炒める。それが、『チキンライス』正解だと思うんだ」


「そ……んな……。無理、無理だよ!」


「百合、大丈夫だ。君ならできる」


「できない! できない!!」


ぶんぶんとかぶりを振り、その拍子に涙が頬を伝って流れた。
< 135 / 281 >

この作品をシェア

pagetop