懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
じゃり……。


それは砂が口の中に入ってきたときのような不快感だった。


細かくなったガラスの破片はじゃりじゃりと音を立て、俺の口の中で転がる。


特に細かくなった破片は歯の隙間に入り込み、ピリピリとした痛みを感じる。


その後、ジワリと微かに血の味が口の中に広がった。


いくら砕かれていても、固いガラスは口の中で凶器となる。


大き目の破片を口に入れたとき、すぐに舌が切れるのがわかった。


下の先辺りから血があふれ出し、患部がジリジリと焼けるように熱い。


俺はその大きな破片を奥歯で思いっきりかみしめた。


口の中でガラスが割れる音がする。


それと同時に、奥の頬肉がスパッと切れるのがわかった。


それは鋭利な刃物でスッと切られた感じに近く、痛みは遅れてやってきた。


大き目な破片をバリバリと音を立てながら砕き、そして飲み込む。


喉を傷つけないよう、慎重に慎重に食べていく。


俺は口の中に広がる血の味を意識しないよう、友人たちを見回した。


俺の隣では百合が祈るように両手を組み、目をギュっと閉じている。


俺の前の椅子には春姫がいて、声を出さずに泣いている。
< 162 / 281 >

この作品をシェア

pagetop