懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
そのまま枝は地面に落ち、ようやく胸をなで下ろす。


よかった、子猫は無事だ。


腕の中の子猫を見下ろし、自然と笑顔になった。


「おい月奈、子猫は無事だぞ!」


まだ木の上にいる月奈に声をかける。


しかし、月奈から返事はない。


「月奈?」


見上げてみると、月奈は青い顔をして下を見つめている。


その体は緊張で堅くなっていて、少しも動かない。


「おい……まさか降りられなくなったんじゃないだろうな?」


そう声をかけると、月奈は俺を見て小さく頷いて見せた。


まじかよ……。


俺は子猫を抱えたまま呆れてしまった。
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