懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
子猫は助かったのに今度は月奈が下りられないなんて、思わず笑ってしまいそうだった。


でも、月奈の青い顔を見ていたら笑いごとではないと、すぐに理解できた。


「梯子ってありますか?」


俺は家主に訊ねる。


「あぁ。あるぞ、持ってくるから少し待っていなさい」


自体を真剣にとらえてくれた家主がすぐに梯子を取りに行ってくれた。


「月奈、今助けるからな!」


「だ……だめかも」


「は?」


「手が……限界」


月奈の言葉に俺はハッとした。


そういえば月奈はいつから木にしがみついているんだろう?


学校が終わって俺たちがここを通りかかるまで、ずっと木の上で耐えていたことになるんだ。
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