懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
タイムリミットの事ではない。


嵐の命の事だ。


百合も床に広がって行く血だまりに気がつき、小さく悲鳴をあげた。


そしてすぐに目をそむける。


自分のせいで嵐はこうなってしまったのだ。


直視できないのだろう。


しかし、嵐はその場から動こうとしなかった。


冷蔵庫の前で手を広げたまま、肩で呼吸を繰り返している。


そこまでして見られたくない物が、ここに入っているのか?


今までの事を思い返せば、冷蔵庫の中には普通の食材しか入っていなかった。


本物の食材は別の場所にあった。


「仕方ない。冷蔵庫は後回しだ」


嵐が何を隠しているのか知らないけれど、ここで立ちどまっている暇はない。
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