懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
なにか面白そうなゲームはないだろうか。


そう思い、周囲を見回した。


その時だった。


格闘ゲームの台に座っている1人の男に目がいった。


男は細身で、見たところ同じ高校生くらいだ。


その顔には見覚えはなかった。


どこの高校だろうか?


あるいは下級生か。


いずれにしても、俺は自分の心臓がドクンッと跳ねるのを感じていた。


その男がゲーム台の上に無造作に置いてある財布に視線が釘付けになる。


黒い長財布はパンパンに膨らんでいて、隙間から万札が何枚か覗いているのだ。


悠のように金持ちな坊ちゃんか、あるいは一生懸命バイトをして稼いだ金か。


どちらにしても、あれだけの金があれば『Bird』の服が何枚か買える。


俺はそっと男に近づいた。


男はゲーム画面に夢中になって俺に気づかない。


俺は男の背後から手を伸ばし、サッと財布を盗むと出口へと走った。
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