懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
「どけろ!」


途中でカップルを突き飛ばし、自動ドアを無理矢理こじ開けながら外へ出る。


そのままの勢いで俺は路地裏へと向かった。


しかしその時だった。


「待てよ! 財布を返せ!!」


そんな声が後方から聞こえて来て、俺はギョッとして振り向いた。


見るとさっきの男が俺を追って来ているのだ。


「くそっ」


舌打ちをし、更に走る。


細身な男だからと油断していた。


俺の息が切れて来ても、相手は一向にスピードを落とさない。


細い路地を右へ左へと蛇行して走るうちに、俺はついに地面へしゃがみ込んでしまった。


肩で呼吸を繰り返し、せき込む。


「返してくれよ、僕の財布」


その声に顔を上げると男が俺の目の前に立っていた。
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