懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
男は息ひとつ切らしておらず、汗も流れていない。


くそっ。


こいつ、陸上でもやってるのか。


俺は仕方なく手に持っていた財布を差し出した。


もう逃げる事はできないし、Tシャツは諦めるしかない。


そう思った時だった。


男が俺の手首を掴んだのだ。


「あぁ?」


威嚇するように男を睨みつける俺。


「君を警察へ突き出す」


男の意外な言葉に俺は目を丸くした。


「はぁ!? 財布は返しただろうが!!」


「そう言うと思ったよ。君のやり方が慣れているのうに見えたからね。


常習犯なんだろ? もう二度と繰り返さないためには、警察へ突き出すのが一番なんだ」


男は淡々とそう言い、俺を立たせた。
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