懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
「どういうことだろう……」


俺は2本の包丁を見つめて呟いた。


もし、嵐の時のように人肉をそがなければいけないのであれば、包丁は一本で十分だ。


それなのになんで2本も……。


そこまで考えたとき、春姫がサッと動いた。


あっという間に1本の包丁を両手に握りしめ、百合へ向けて突き付けた状態になる。


一方、百合はそれが何を意図しているのか理解できていないようで、キョトンとした表情になった。


「え……?」


百合が首を傾げた瞬間、春姫の包丁がその頬をかすめた。


百合の白い肌が赤く染まり、一筋の血が流れる。


「春姫、なにしてるんだ!!」


「思い出したわ」


肩で呼吸をしながら春姫は言った。


「思い出した?」


「火傷を負わせたのはあたしだけじゃない。百合もあたしに火傷させてるのよ」


その言葉に、俺は唖然として百合を見つめる。


棒立ちになっている百合は何かを思い出したように、ハッと息を飲んだ。
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