懺悔部屋~脱出法は仲間を傷つけ食べること~
「……この部屋を作った人物」


俺は持っていた卵を良に渡し、そう答えた。


「冷蔵庫の中にある卵全部に小さな穴が開いている。きっと犯人は先に卵に穴を開け、そこに注射針か何かを突っ込んで毒を混入させていたんだ」


「そんな……じゃぁ、悠は最初から死ぬしかなかったってこと!?」


春姫に聞かれ、俺は左右に首をふった。


「わからない……」


俺たちは声の言われた通りに行動した。


それでも鍵は開かず、そして悠は死んでしまった。


卵に細工をされていたのだろうという考えには、すぐに行きついた。


仲間同士些細な喧嘩はあるけれど、相手を殺すほどの憎しみは持っていない。


彗と悠は同じメンバーにいるから会話をしていた。


という程度の関係だった。


2人の間に何かがあったとも、考えにくい。


だから俺は、元々この部屋に用意されていたものが怪しいと思ったのだ。


悠が殺されなければいけなかった理由なんて、考えられなかったのだった。
< 72 / 281 >

この作品をシェア

pagetop