異常って言われても構わない。
真っ青な空の下
隣りの2組はグランドに出て
体育の授業をやっている。

暑い真夏日とはいえ
頭を使わずに思いっきり体を動かせるのは
とてつもなく羨ましい。

一方俺たち1組ときたら…

クーラーがんがんの教室で
面白くもなんともない化学の授業中。

こんな環境で毎日過ごしてたら
夏バテしちまうっての。


「明希ーまた内職?」


横の時雨が俺の机を覗きこんでくる。

俺は化学が大嫌いだから
内職で物理をしていた。


「だってよ、化学わけわかんないし。」

「どうかーん。
 まぁ俺にしちゃ
 物理もわけわかんねーけどな!」


あははーと時雨は笑って
いつもの漫画を読み始めた。


「時雨、せめて勉強しろよ。
 ただでさえお前進級危ないってのに。」


俺は時雨に突っ込む。

時雨は定期テストで赤点とりまくりの
学校一の追試常連生徒だ。


「やーだね。
 勉強するなら留年した方がマシ。」


漫画から目を逸らさずに
時雨はさも当たり前のように答える。

いや、もし留年されたら
俺時雨と一緒のクラスじゃなくなるだろ。
(この高校は3年間クラス持ち上がり式)

…と言える訳もなく。

ちょっと考えた末
俺はあることを思い付いた。


「そうだ、今度の期末に向けて
 今日から俺が勉強教えてやる。
 クラブ終わったら俺の家来いよ。」


誤解しないでほしい。

別に時雨と帰宅後も一緒にいられる
とかいう変な下心で
この考えを提案したんじゃない。

まぁ…ちょっとはあるわけだけど。
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