異常って言われても構わない。
休み時間に時雨がトイレに行っている間に
辰樹が俺の席にやってきた。


「あーきくん。」

「辰樹!ちょっと聞いてくれ!」


なんとか放課後勉強会をこじつけたものの
どうしたらいいかわからない。

ここは唯一俺の気持ちを知ってる辰樹に
相談するしかないだろ。

俺は辰樹をひっぱり屋上に連れ出した。


屋上は思った通り誰もいなかった。

当たり前か。
もうすぐ次の授業が始まるし。


「どうしたの、明希くん?」

「いや、実は…」


俺は辰樹に勉強会のことを話した。


「へぇ、良かったじゃない。
 これで告白するチャンスが増えたね。」

「そうなんだけどさ…
 いざ告白するとなったら
 どうしたらいいかわかんなくて…。」

「今日言うの?」

「あぁ。」

「思い切りがいいね。」

「それは…」


占いで『告白したら絶対成功』って
言ってたから
…なんて口が裂けても言えない。


「そ、そんなことは置いといて!
 辰樹、頼む!
 どうしたらいいか教えて!」


両手を顔の前で合わせて
頭を勢いよく下げる。

普段の俺なら絶対しない行動に
辰樹はびっくりした様子で言う。


「ちょっと明希くん!
 止めてよ、頭上げて?」


渋々頭を上げる。


「どうしたらいいかなんて簡単でしょ?
 明希くんの想いをそのまま時雨くんに
 伝えたら良いんだよ。」

「そのままって言われても…。」

「大丈夫。
 一生懸命伝えたら
 時雨くんわかってくれるよ。」


そう…だよな。

変な小細工は無しにして
俺の気持ちをそのまま時雨に伝えたら
いいんだよな。


「辰樹、サンキュー!」


バシッと辰樹の肩を叩いた時


キーンコーンカーンコーン♪


次の授業の開始を知らせるベルが鳴った。


「やべ、遅刻じゃん!悪い辰樹!」

「良いから早く行こう!」


俺達は慌てて屋上を走り去った。
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