異常って言われても構わない。
そこからが大変。

俺は殆ど意識のない時雨の腕を肩にまわし
2階の自室まで運んだ。

クーラーつけてんのは自室だけだからな。

そしてベットに時雨を寝かして
リビングから氷水を取ってきて…

今は時雨が起きるのを待機中。


「かーっ。」


全く色気の無い寝方をする時雨を見ながら
俺はさっきまでそわそわしてたのが
だんだん馬鹿らしくなってきた。

俺の気も知らないで
爆睡ですか、時雨くん。


「そういや…時雨走って来たのかな。」


さっきの時雨の様子を思い出しながら
ボソッと呟く。


「…おー。」

「うわっ!お前起きてたのかよ!」


すっかり寝てると思って言った独り言に
返事が返ってきたから
びっくりして椅子から落ちそうになる。


「今起きた…。」


寝起きで時雨はボーとしている。


「大丈夫かよ?
 ほら、コレ飲め。」


俺は氷水を差し出す。

つってもだいぶ時間が経ったから
氷は全部溶けてるけど。


「サンキュー。」


時雨はゴクゴクと水を一気飲み。

喉渇いてたんだろな。


「あ"!!!」


飲み終わったと思えばいきなり叫ぶ時雨。

コイツ何回俺を驚かせる気だ?!


「何、どした。」

「今何時?!」

「7時30分だな。
 お前が来てから約50分が経過。」

「マジで?!
 俺そんなに寝てたんかよ!
 うわー走って来た意味ねー!」


頭を抱える時雨。


「なぁ何で走って来たんだよ?
 疲れてる上にこの暑さの中。」


すんげぇキツいじゃん。

俺なら絶対無理、と思いながら聞く。


「だって…明希…」


言いかけて慌てて口を塞ぐ時雨。

明希…って、俺…だよなぁ?

何でそこで俺が出てくるわけ?
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