異常って言われても構わない。
「なー誰だよ?
 つーか好きな子いたんだ?」


ニヤニヤしながら時雨は俺を見つめる。

まるで
面白い玩具を見つけた子供みたいに。


「…悪いかよ。」


くそー
正直に答えた俺が馬鹿だった。

俺はうっかり好きな子がいる
と言ってしまったことを後悔していた。


「べっつにー?
 でも何かびっくりした。」

「何で。
 高2なんだから好きな子がいても
 おかしくないって言ったのお前だろ。」

「そうなんだけどさ。
 今まで明希のそういう話って
 1回も聞いたことなかったし。」

「そうだっけか?」

「そうだよー。
 明希は硬派って皆思ってるぜ?」


皆って…。
つーか俺ってそんな印象だったんだ。


「だから超意外、みたいな?」


そう言って時雨はニコッと首を傾げる。


「何だよそれ。」


相変わらずチャラけた喋り方する奴だ。

時雨はそこらの女に負けないぐらい
整った綺麗な顔をしている。

ただし欠点は『チャラ男』。
生徒指導には指導されすぎて
呆られたぐらいの常習犯だ。


「で?」


人がせっかく早く食ってやってるってのに
時雨はお構いなしに話しかけてくる。


「で…って?」

「だーかーらー
 誰だよ、好きな子っ!」

「言うか馬鹿。」

「え"ーーーっ!!!
 なんだよケチーーーっ!!!」

「何とでも言え。」


机をバンバン叩く時雨を無視して
俺は最後の一口を放り込み
学校へ行く準備をするために
二階の自室へ上がった。
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