異常って言われても構わない。
「時雨…時雨…時雨…っ」


俺は時雨を抱き締めたまま
何回も名前を呼び続けた。

俺の頭の中は
時雨を泣かせてしまった罪悪感と
時雨の気持ちの嬉しさとで
ごちゃごちゃになっていた。


「…明希、もうわかったから。」


時雨はそう言って腕を俺に回す。


「時雨…
 俺、ずっと言いたかったことがある。」

「うん…俺も。」


少し体を離して、お互いを見つめ合う。

時雨…俺はお前を…


「「愛してる。」」


時雨も同時に呟いた。

びっくりして一瞬息が止まる。


「時雨も?」

「え、明希も?」


嘘みたいだ。
夢みたいだ。


「ヤバい…泣きそう。」

「泣け!
 俺ばっか泣いてて格好悪ぃから。」


そう言って、時雨は笑い
俺も笑い泣きした。



しばらく泣いて落ち着いてきた頃
俺達はベットに並んで座っていた。


「なぁ、いつから好きだった?」


時雨が楽しそうに聞いてくる。


「…中学生の頃、初めて見た時から。」

「マジ?一緒だ。」


そっか…初めから俺達両想いだったんだ。


「なんか、すげぇな。」


俺はボソッと呟く。

男同士でしかもお互いを好きになるなんて
そうあることじゃないだろ。


「だよなぁ、運命なんじゃね?」

「うん…俺もそう思う。」


良かった。
本当に良かった。

時雨のこと好きでよかった。
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