あふれる、想い
―ayuka―
夏休みになった
去年の夏は旅行に行って楽しかったな
部屋のコルクボードに飾られた写真
蓮の部屋にも同じように
コルクボードに飾られてる
胸元のネックレスを握り締めた
最近、辛い時や切ない時の癖になってる
1年前は蓮と離れる時が来るなんて
思ってもみなかった
蓮はアメリカに行く準備に急がしい中
時間を作って私と逢ってくれる
残された時間を惜しむように…
今日は私の家に来てくれる
ママは蓮がお気に入りだから
アメリカに行くのを本当に残念がってた
-ピンポーン-
蓮が来た
階段を降りるけど、ママの方が早かった
「蓮君いらっしゃい」
「お邪魔します」
「蓮君アメリカに行っちゃうって
愛結花から聞いたわ
寂しくなるわね」
「俺も寂しいです」
「また戻ってきたら
いつでも遊びに来てね」
「是非伺わせて貰います」
ママと蓮を見てて涙が出そうになった
最近、泣いてばかり…
私が涙をぐっと息を飲み込んで押し戻した
「れ~ん?
いつまで玄関で話してるの?
上がって??」
「あらあら、本当ね
愛結花はお茶持って行きなさい」
「はーい
蓮は先に部屋に上がってて?」
「おう」
蓮を先に上がらせて
ケーキと紅茶を受け取って部屋に入った
蓮は去年の旅行の写真を見つめてた