あふれる、想い

―ayuka―

夏休みになった


去年の夏は旅行に行って楽しかったな


部屋のコルクボードに飾られた写真


蓮の部屋にも同じように
コルクボードに飾られてる


胸元のネックレスを握り締めた


最近、辛い時や切ない時の癖になってる


1年前は蓮と離れる時が来るなんて
思ってもみなかった


蓮はアメリカに行く準備に急がしい中

時間を作って私と逢ってくれる



残された時間を惜しむように…


今日は私の家に来てくれる

ママは蓮がお気に入りだから
アメリカに行くのを本当に残念がってた


-ピンポーン-


蓮が来た


階段を降りるけど、ママの方が早かった


「蓮君いらっしゃい」


「お邪魔します」


「蓮君アメリカに行っちゃうって
愛結花から聞いたわ
寂しくなるわね」


「俺も寂しいです」


「また戻ってきたら
いつでも遊びに来てね」


「是非伺わせて貰います」


ママと蓮を見てて涙が出そうになった

最近、泣いてばかり…

私が涙をぐっと息を飲み込んで押し戻した

「れ~ん?
いつまで玄関で話してるの?
上がって??」


「あらあら、本当ね
愛結花はお茶持って行きなさい」


「はーい
蓮は先に部屋に上がってて?」


「おう」


蓮を先に上がらせて
ケーキと紅茶を受け取って部屋に入った


蓮は去年の旅行の写真を見つめてた

< 114 / 290 >

この作品をシェア

pagetop