あふれる、想い
―ren―

空港のロビー



「じゃあ私達は先に行くから
愛結花ちゃんまた会おう」


「はい、おじ様も気をつけてください」

親父は優しそうに微笑んだ


「愛結花ちゃん戻ったらまた会いましょうね」


「はい、楽しみにしてます」


母さんは目を潤ませながら愛結花を抱きしめた

愛結花も泣きそうになるのを必死に堪えてる


「じゃあ先に乗ってるから
蓮は後で来なさい」


親父に言われて頷いた


愛結花の手を握り締めて
ロビーに座った


「俺…これから嫌な事とかあったら
これ見て愛結花の事
思い出して頑張るから」

俺は胸元からネックレスを取り出した


「私も…寂しくなったら
これで蓮を思い出すね」


愛結花が胸元から出したのは
俺がプレゼントしたネックレス


俺は愛結花を抱きしめた


小さな華奢でやわらかい愛結花


「遠く離れても愛してる」


「私も蓮を愛してる」


「必ず帰って来るから…帰ってきたら逢おう」


「うん
向こうに着いたら連絡先教えて?」



「連絡はしない」


愛結花が堪えてた涙を流し始めた


「連絡したら愛結花に逢いたくなって
堪らなくなるから
帰って来た時に連絡する」


泣きながら頷いてる


「俺は…」


言っていいのか…?
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