あふれる、想い

どうやって家に帰ってきたのか覚えてない

気づいたらベッドに泣き崩れてた


カバンから携帯を取り出して
アドレスから蓮の番号を出す


<<お客様のおかけになった…>>


わかってた


わかってたけど…涙が溢れた


蓮はアメリカに行く前に携帯を解約した


解約した携帯を握り締めて

『愛結花がくれたメールを見て
愛結花を思い出す』


そう言ってくれてた


私の携帯にも蓮のメールが沢山残ってる


夕方、心配して明日香が家に来てくれた


私が蓮のホテルに泊まった前日に
蓮は矢野君と会ってたから
矢野君から聞いたんだろうな


明日香にも蓮が旅立つ日は言えなかった


「愛結…泣きたいなら泣けばいいよ?」


その言葉に止めたはずの涙が溢れた

どんなに泣いても涙は出続ける

明日香は優しく抱きしめてくれる

でも…思い出すのは蓮の温もり


「…蓮…蓮…」


明日香は静かに背中を擦ってくれた


ひとしきり泣いた後
私は明日香に頼みごとをした


「携帯ショップ~?!」


「うん…グスッ
機種変したいんだ
でないと…蓮のメールが消えちゃう」

保護しきれなかったメール


「わかった
じゃあすぐ行こう」

明日香は優しく笑って付き添ってくれた


機種変をして、アドレスの移行だけして貰った
メールと着信履歴に残る蓮の番号

電話は繋がらないけど…心は繋がってる


「明日香ありがとうね」

「水くさい事言わないの」

本当にありがとう

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